世界のニュースを日本人は何も知らない|お名付け 開運堂

世界のニュースを日本人は何も知らない(ワニブックスPLUS新書)
著者 谷本真由美

 この1冊は、どれだけ日本人であることが世界的に稀有な幸福下にあるかを気づかせてくれます。|お名付け 開運堂

 その中で特に気になった部分を抜粋してみますと、『心理学や老年学では、「知能は加齢とともにどのように変化するか」という重要なテーマについて、これまであらゆる研究が行われてきました。さらに昨今では、検査機器やデータ処理技術の発達でより多くのことが判明しています。心理学者のレイモンド・キャッテルによる、知性は「結晶性知能(crystallizez intelligence)」と「流動性知能(fluid intelligence)に分けられるという発見もそのうちの一つです。  結晶性知能は長年にわたる経験および教育や学習などから獲得していく知能で、高齢になるほど高まっていく。一方、流動性知能は瞬発力や、集中力といった能力であり、こちらは加齢とともに衰える。』

『しかし近年ほかの国では、成功にとって必要なのは詰込み型の勉強ではなく「非認知能力」だという考え方が一般的になりつつあります。  非認知能力とは他人の気持ちを汲んだり、人の境遇や気持ちに共感したり、異なる価値観を柔軟に受け止めたり、我慢をしたり、人に譲ったり・・・等々、そんな生きていくうえで必要な社会的スキルのことをいいます。』

 この辺のことを『ITビジネスの原理』(著者 尾原和啓)もハイコンテクストという言葉で『アメリカ的なものによって作られた「無駄なき社会」から、人間と社会を取り戻せるのは、この日本的なものだろう』と言っています。

 非認知能力は、『時間をマネージする能力や自己に対する動機づけ、失敗から立ち上がる強さ、芸術作品や自然を見て湧き上がる感動など、主に感情面や情緒面での感性や能力』でもあるそうです。

『これは受験勉強のように何かを計算したり知識を身につけて回答したりする能力とは異なります。激しい詰め込み型教育で知られてきた中国人でさえも、昨今では試験や習い事の結果よりも体験を重視する親が増えてきて』『試験で良い点を取るよりも子どもの喜びや体験に重きをおくようになっています』と、日本の40年前から続く、基礎教育としては世界的に群を抜くにしても、コンピュータに任せればいい回答能力のための、あるいは製造業向けの知識教育のあり方を戒めています。

『ノーベル経済学賞の受賞者でもあるシカゴ大学のジェームズ・J・ヘックマン教授』によると『五歳までの教育は学力だけでなく健康にも影響すること、六歳時点の親の所得で学力に差がつく』そうで、『親とのふれあい不足により子どもの脳が委縮してしまうという衝撃的な研究結果』を紹介しています。

 非認知能力は『幼年期以降でも二十歳を超えてからでもどんどん成長していく』ため『周囲からの働きかけや教育によって後天的に伸ばしていくことが可能』で、『働く人の生産性は必ずしもIQだけに左右されているわけではない』のでIQ偏重には大きな疑問があるものの、『最近の脳科学研究により、知性・知能に対する遺伝の影響は予想していた以上に大きく、五十%程度を占める』けれど、『残り五十%は環境や教育により大きな影響を受けるため、非認知能力を伸ばす取り組みも総合的な能力の形成に効果がある』ということです。

 AIがなんでも解決するようにとらえられつつある現代『データやシステムに頼った効率化というのは、あくまで特定のアルゴリズムや過去のパターンに沿って行動したり考えたりすることです。過去の成功体験をなぞって行動するわけですから、合間に遭遇する異質なことや予期しなかった発見、まわり道によって得られた新たな知識や体験が思いも寄らないアイデアに結びつく、なんてこともありません』。

 AIは所詮、過去のデータでしか判断できない代物。予期しない出来事にひらめきを得られる人間の脳とは異なるものということですね。

 コンピュータは『インプットされた以上のことはできないので、何かを生み出すということには向いていません。そしてインプットされたデータに従うだけんなので、突発的なことや創造的なことが無視されてしまうというリスク』ということを再認識したいです。でも、これって、官僚にも言えるみたい。

『二〇一八年神戸大学社会システムイノベーションセンターの西村和雄特命教授と同志社大学経済学部研究科の八木匡教授』が約2万人を対象に行った『オックスフォード式の心理的幸福感を測る質問を用い「所得」「学歴」「自己決定」「健康」「人間関係」の五つがいかに幸福感と相関性が強いかについて分析』を行ったところ『人生の幸福度を決めるのは学歴や資産ではなく「自己決定権があるかどうか」という驚くべき結論』が導き出されたそうです。

『この自己決定権というのは、つまり自分でさまざまな物事を決めることができ 』、イギリスの資格授与期間「シティアンドギルズ」の調査で『最も幸福度の高い職業は配管工という結果が出』、政府調査では『幸福な仕事のトップ5は司祭、企業幹部、農業、園芸従事者、企業秘書、品質管理者』だそうです。

『そのほかに教員やエンジニア、データサイエンティスト、医療系の仕事はイギリスでは専門職ですから、自己決定権や自己裁量で働けることが多く、手に職があるので転職もかなりしやすい売り手市場』と、日本でも同様のことが言えますね。わたしのような仕事もそうです。

『経済学の理論では、人間は利益を最大限にするために行動する生き物だということが前提になって』いるため『十九世紀以後、人々はお金と資産を得るため「だけ」に働』いてきたけれど、『現実社会を見てみると、人間というのは実は仕事にはやりがりや生きがいを求めることも多い』ので、『人間は必ずしも経済的に合理性がある決定を下すわけではなく、感情によって行動が左右されることが多い』ことから、決して得とは言えないアメリカの貿易戦争、イギリスのEU離脱も納得できるそうです。

ヴィジュアルネーム「お名付け 開運堂」より

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